新NISAの「つみたて投資枠」と「成長投資枠」:40代の使い分け実例(保存版)
40代は「教育費・住宅ローン・老後」が同時進行になりがち。
この記事では、2つの枠をどう割り振ると迷いが減るかを、実例と表で整理します。
まず結論:40代の使い分けはこの3型
① つみたて中心(いちばん迷いにくい)
毎月の積立を「家計の固定費」みたいにして、長期の土台を作る型です。
- 教育費や住宅ローンで手元資金が重要
- 投資判断に時間をかけたくない
- 相場が気になって売り買いしがち
② 併用(つみたて+成長で上乗せ)
「土台は積立、余裕資金は追加投資」。40代で一番現実的になりやすい型です。
- 毎月の積立は継続できる
- ボーナスや臨時収入が出る年がある
- 銘柄や配分を少し調整したい
③ 成長中心(スポット投資や個別株も含める)
まとまった余裕資金があり、投資判断も自分で管理できる方向けです。
- 相場の上下に耐えられる(精神面・家計面)
- 家計の緊急資金が十分ある
- 分散(地域・資産・時間)を意識できる
40代の合言葉
近い将来に使うお金(目安:5年以内)は、原則として投資に回さないほうが安心です。
教育費・車の買い替え・引っ越し・住宅関連の大きな支出などが該当しやすいです。
新NISAの大事なポイント(数字とルール)
口座の基本ルール(つまずきやすい点)
40代の優先順位:老後・教育・住宅ローンの整理
40代の悩みは「目的が3つ以上ある」こと。ここでは、投資の前に優先順位を決めるための考え方を、現実的な順番でまとめます。
2)次に“長期で育てたいお金”
- 老後資金:使う時期が遠いほど、積立の相性が良い
- 教育資金:進学時期が近いほど、投資に回す割合は控えめに
- 住宅ローン:金利、家計の余裕、精神的負担をセットで判断
住宅ローン(特に変動)の悩みどころ
繰上げ返済と投資は「どちらが得か」になりがちですが、40代は家計イベントが多いので、“家計の安定”を優先して配分を決めるほうが長続きします。
例:毎月の積立は少額でも続け、ボーナスや余裕が出た年に繰上げ返済や追加投資を検討する、など。
使い分け実例(配分の考え方)
ここでは「商品名」ではなく、枠の役割分担に集中します。どれも正解ではなく、家計の条件に合わせて微調整してください。
実例A:40代前半/子ども1人(小学生)/住宅ローンあり/月5万円
狙い:まずは土台を作り、教育費が増える前に“習慣化”。
- つみたて投資枠:月4万円(自動積立で固定)
- 成長投資枠:月1万円(余裕がある月だけ増やす)
- ポイント:成長投資枠は「ボーナスの追加投資」に回してもOK。無理に毎月使い切らない。
実例B:40代後半/子ども2人(中高)/教育費が近い/月3万円
狙い:教育費のピークに備え、投資は“続ける最低ライン”を守る。
- つみたて投資枠:月3万円(老後目的として継続)
- 成長投資枠:基本は使わない(臨時収入が出たら検討)
- ポイント:数年以内に使う予定のお金は投資に入れず、現金で確保。
実例C:共働き40代/ボーナスで年60万円の余裕資金/月8万円
狙い:積立を軸にしつつ、余裕資金で機械的に上乗せ。
- つみたて投資枠:月8万円(年間96万円)
- 成長投資枠:ボーナスで年60万円(スポット)
- ポイント:年間投資枠(合計360万円)を“使い切る”より、家計に合うペースを優先。
売却して乗り換えるときの注意
新NISAは、商品を売却すると翌年以降に、売却した商品の簿価(取得金額)の分だけ非課税保有限度額が復活します。
ただし、その年の年間投資枠(合計360万円)が増えるわけではありません。
40代の家計イベント年表(見通し用)
※一般的な例です。ご家庭の状況に合わせて「いつ・いくら・何のために」を書き換えると、使い分けが決まりやすくなります。
| 年代 | 起こりやすいイベント | お金の動き | NISAの使い分けの考え方 |
|---|---|---|---|
| 40?44歳 | 教育の習い事増、車検・買替、住宅ローン見直し、親の体調変化が気になり始める | 支出が増えやすい/家計の固定費を整えると効く | つみたて投資枠で“土台の習慣化”。成長投資枠は臨時収入がある年だけでも良い。 |
| 45?49歳 | 学費の見通しが具体化、進学費用の準備、住宅の修繕(設備更新) | まとまった支出が発生しやすい | 教育費など近い支出は現金で守る。NISAは老後目的に絞ると迷いが減る。 |
| 50?54歳 | 高校・大学など支出ピーク、転職・役職定年など働き方の変化 | 家計の変動が大きくなりやすい | 積立を続けるなら、額を下げても止めない工夫。成長投資枠は無理に使わない。 |
| 55?59歳 | 教育費の終盤?終了、退職金・年金の情報を具体化、住宅ローンの終盤戦 | 支出が落ち着く家庭も増える | 余裕が戻ったら、つみたて投資枠の増額や、成長投資枠での追加投資を再検討。 |
積立の早見表(概算)
前提:毎月一定額を積み立て、年率3%または5%で複利運用できた場合の概算(手数料等は考慮せず)。結果は相場で変動します。
| 毎月の積立額 | 期間 | 元本合計 | 年率3%の目安 | 年率5%の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 3万円 | 10年 | 360万円 | 約420万円 | 約470万円 |
| 3万円 | 15年 | 540万円 | 約680万円 | 約800万円 |
| 3万円 | 20年 | 720万円 | 約990万円 | 約1,230万円 |
| 5万円 | 10年 | 600万円 | 約700万円 | 約780万円 |
| 5万円 | 15年 | 900万円 | 約1,130万円 | 約1,340万円 |
| 5万円 | 20年 | 1,200万円 | 約1,640万円 | 約2,060万円 |
| 10万円 | 10年 | 1,200万円 | 約1,400万円 | 約1,550万円 |
| 10万円 | 15年 | 1,800万円 | 約2,270万円 | 約2,670万円 |
| 10万円 | 20年 | 2,400万円 | 約3,280万円 | 約4,110万円 |
40代の読み方(大事)
- 「増えそう」よりも、続く金額がいちばん強い。
- 元本の積み上げが大きいほど、後半に複利が効きやすい。
- 途中で売る可能性が高いお金は、表のような前提が崩れやすい。
迷ったらここ:判断チェックリスト
つみたて投資枠を優先しやすい人
- 家計に波がある(教育費・住宅関連がこれから増えそう)
- 相場が気になると売りたくなる
- 投資に使える時間が少ない
- 「まずは習慣化」が最優先
成長投資枠を上手に足しやすい人
- 生活防衛資金が確保できている
- ボーナスなど余裕資金が出る年がある
- 資産配分(分散)を意識できる
- 売買ルール(いつ買い、いつ見直すか)が決められる
“枠を使い切る”より大事な2つ
- 年単位で続けられる設計(家計イベントが来ても折れない)
- 売る理由が明確(「怖いから」以外のルールがある)
相場が荒れたときの考え方(続ける工夫)
値下がりは「悪い出来事」だけではない
積立は、価格が下がる局面で口数が増えやすい面があります。短期の上下に一喜一憂しない仕組み(自動積立)が相性◎です。
見直すのは“金額”と“目的”
相場が不安なときほど、銘柄探しより「積立額が家計に合っているか」「目的がブレていないか」を確認するほうが現実的です。
売却の候補は「目的が近づいたお金」
教育費など使う時期が近づいたら、段階的に現金化する考え方もあります。新NISAの枠は売却した簿価分が翌年以降に復活します。
焦って“まとめて買う/売る”を避ける
40代は家計イベントが多いので、判断を急ぐほどミスが出やすい時期。迷ったら積立だけ継続、追加投資は一旦止めるのも手です。
今日やること(短い手順)
- 目的を2つに絞る:例)「老後」+「教育費は現金で守る」など。
- 積立額を決める:まずは無理なく続く金額(つみたて投資枠)。
- 成長投資枠の役割を決める:例)「ボーナスの追加投資」「配分調整」「個別株はここだけ」など。
- ルールを1行で書く:例)「毎月は積立のみ。追加投資は年2回まで」
- 年1回だけ点検日を作る:家計・教育費・住宅ローンの状況が変わったか確認。
よくある質問
つみたて投資枠だけで、総枠(1,800万円)を使い切れますか?
可能です。つみたて投資枠だけ、成長投資枠だけ、どちらも選べます。ただし成長投資枠には総枠の内数として上限があります。
売却したら、その年にまた同じ分だけ買える(枠がすぐ戻る)?
すぐには戻りません。新NISAは、売却した商品の簿価(取得金額)の分だけ非課税保有限度額が復活し、翌年以降に再利用が可能です。また、その年の年間投資枠が増えるわけではありません。
つみたて投資枠と成長投資枠を、別々の金融機関で使えますか?
できません。1つの金融機関で利用することになります。金融機関の変更は年単位で可能ですが、手続きと条件があります。
成長投資枠は何でも買えますか?
幅広い商品が対象ですが、一部は除外されます。たとえば金融庁の資料では、整理・監理銘柄や、信託期間20年未満・毎月分配型・デリバティブ取引を用いた一定の投資信託等が除外される旨が示されています。具体的な取扱いは金融機関の取扱商品をご確認ください。
NISA口座で損が出たら、他の利益と相殺(損益通算)できますか?
NISA口座の損益は、一般口座・特定口座など他の口座と損益通算できず、損失の繰越もできません。
参考リンク
- 金融庁:NISA特設サイト「NISAを知る」(年間投資枠、非課税保有限度額、売却後の枠の再利用など)
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/know/index.html - 金融庁:NISA特設サイト「よくある質問」(金融機関変更、同一金融機関での利用など)
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/question/index.html - 金融庁:説明資料「NISAを利用する皆さまへ(スライドPDF)」(制度概要、対象商品、除外商品の考え方、売却後の枠など)
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/slide_202406.pdf - 国税庁:NISA口座の新規開設又は変更に関する手続等(手続きの詳細)
https://www.nta.go.jp/users/gensen/nisa/tetsuzuki.htm
免責
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品や投資行動を推奨するものではありません。投資には元本割れ等のリスクがあり、制度の取扱いは変更される場合があります。最終的な判断は、金融庁・国税庁等の情報や取扱金融機関の案内をご確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。
1ページ図解:40代の「つみたて投資枠」×「成長投資枠」使い分け
| 時期 | 家計の論点 | 枠の使い方のコツ |
|---|---|---|
| 40代前半 | 固定費の整備/教育費の兆し | つみたて投資枠で“習慣化”。成長投資枠は余裕がある年だけでもOK。 |
| 40代後半 | 教育費が具体化/住まいの修繕 | 近い支出は現金で守る。NISAは老後目的に寄せると迷いが減る。 |
| 50代前半 | 支出ピーク/働き方の変化 | 金額を下げても止めない工夫。成長投資枠は無理に使わない。 |
| 50代後半 | 支出の落ち着き/老後準備の加速 | 余裕が戻ったら上乗せ再開(つみたて増額 or 成長で追加投資)。 |
| 毎月 | 10年(3% / 5%) | 15年(3% / 5%) | 20年(3% / 5%) |
|---|---|---|---|
| 3万円 | 約420万 / 約470万 | 約680万 / 約800万 | 約990万 / 約1,230万 |
| 5万円 | 約700万 / 約780万 | 約1,130万 / 約1,340万 | 約1,640万 / 約2,060万 |
| 10万円 | 約1,400万 / 約1,550万 | 約2,270万 / 約2,670万 | 約3,280万 / 約4,110万 |
使い分けの要点
- 土台:つみたて投資枠(自動積立で迷いを減らす)
- 上乗せ:成長投資枠(余裕資金・追加投資・配分調整)
- 優先:近い支出は現金、長期資金をNISAで育てる
数字(最低限これだけ)
- 年間:つみたて120万円/成長240万円(合計最大360万円)
- 総枠:1,800万円(簿価)/成長は1,200万円が上限
- 売却:簿価分が翌年以降に復活(年間投資枠が増えるわけではない)
- 口座:1人1口座、2枠を別金融機関で使うことは不可